2024年4月12日金曜日

楊貴妃に見守られて、4月の月釜。

 火曜日は、春の嵐。

満開の桜の花を散らし、

雨も激しく、

季節の変わり目の自然のパワーを、

見せつけられたような。

 そんな嵐が去っても、

まだ桜は綺麗で、

力強い美しさも感じます。

そんな桜満開で、

海外からの観光客が、

わんさか訪れる京都で、

今日は、

4月の月釜。

しつらえのセンターは、

こちら。
















楊貴妃です。

 蜀の国の地方役人をしていた楊家に生まれ、

もともとの名は、玉環。

十代で親を亡くし、

叔父に引き取られ、

育ちます。

735年、玄宗の息子の妃として迎えられましたが、

玄宗は玉環の美しさに一目惚れ。

のちに、正式に後宮に入り、

”貴妃”となりました。

美しさだけではなく、才智があり、

楽器や踊りにも長けて、

玄宗の寵愛を一身に受け、

一族はみな高官に上り詰めたのですが、

権勢を欲しいままにした中、

安禄山の乱が起きて、

玄宗はやむなく、

楊貴妃に自殺を命じる、、、。

 そんな半生のため、

様々な文学作品にも、

題材とされて、

美女といえば、

誰しも思い浮かべる、

楊貴妃。

でもその半生を省みると、

美しさの中に、

力強さ、

賢さ、

したたかさが、

感じられます。

 そして、

もう一つの驚きが、

作者。

円山応挙。

私も大好きな絵師の一人ですが、

自然を題材にしたものが多い印象。

あまり、

美人画のイメージもなく。

 応挙は、丹波国穴太村、

現在の亀岡市の貧しい農家の生まれ。

なんとか絵師でやっていこうと、

京にのぼり、

尾張屋という様々な品物を扱う店で、

働きながら、

絵の研鑽を積みます。

狩野派の絵師にも学びながらも、

もっぱら写実で、独学で腕を磨き、

やがては、

宮廷や商人から、

大量の注文を受ける、

人気の絵師となり、

たくさんの弟子も育て、

円山派を作りました。

当時の京都の人気ランキングでは、

一位にもなったとか。

可愛いふわふわの子犬の作品、

鯉が川を登る様を描いた水墨画、

 そして、

下地の色を雪に見立てて書いた、

国宝”雪松図屏風”。

色々浮かびますが、

美人画のイメージが、

ない。






円山応挙 の名前が、

なかなかの控えめに。

落款も、

小さめ。







腕に牡丹の花。

着物の模様も、

まあ豪華。

後ろには、

カーテンのようなもの。

椅子の上にも、

様々な巻物や、

香合や、

玉(ぎょく)の飾り。

興味ふかい。





楊貴妃に合わせるしつらえは、

棚 紹鴎水指棚

棗 春の野蒔絵 筑紫筑良 造

水指 祥瑞(しょんずい)写






艶やかすぎる楊貴妃に合わせる

花が、

悩ましく。

涼やかな青磁の花入れに、

水仙を入れると、

まとまりました。




楊貴妃の前で、

帯揚げがうまくいかないのよー

とK様。

ささっと直すNちゃん。

いい感じに

この空間に、

あいますねー。




さー、

今日の月釜は、

この方に見守られて、

スタート。




そして、

この”楊貴妃”に合わせる

主菓子が、

スペシャル。

いつもご一緒するOさまが、

丁寧に丁寧に、

そして艶やかに、

作ってくださいました。




準備中。



こんな素敵な、

絵と書も。




さあ、席入り。

みなさんの毎回の装いも、

会の醍醐味。














この時期の釜は、

透木釜。

畠春斎 造。

炉の終わりに、

使われる、

羽根のついた釜。

(以前、羽根つき餃子に似てる、、とか書いてしまったなあ)。

気温が上がってくるこの時期、

炉の中の炭火が見えないようにする、

亭主の

心遣い。




こういう景色で、

始まりました。




主菓子が、

きました。

下に葉っぱも添えられて、

上には、

可愛い蝶々。

きよみ庵 特製の ”富貴花”。

牡丹の別名で、

富んでいて貴い、

すなわち、

財があり、身分の高い。

まさに、

楊貴妃 そのもの。















湯気越しに見る、

楊貴妃も、

よし。






さあ、

いただきますよ。

スパッと半分に切ると、




黄色い蘂(しべ)の

美しさ。

美味しく、二口で

いただきました。




薄茶を、

半東のTさまが、

スムーズに運んでくださり、







美味しく、


眺めて、

楽しく。



お着物の色と、

三穂さんの茶碗の色が、

コラボ。

水玉のサイズは、

十円玉、

だそう。

(企業秘密)。




なにやら、

ご歓談中。










楽しく。




少し、

きりりと。




やっぱり笑顔で。


天井の扇面画も、

より艶やかに。















お干菓子は、

”笑くぼ”。

キュート。















こちらのお茶碗、

銘が、”吉野”。

いろんな色の桜が。

地色も素敵。







なにを談笑してるかなあ。




笑顔。


Tさまの帯も、

きりりと素敵。
























この色も、

良いわー。








こちらは、

爽やか〜。



クローバーに、

てんとう虫。

可愛く。







棗を拝見。

















まさに、

春の野の風景が。



茶杓は、

木の素材に、

竹の節の模様を入れて。

 無粋に思われていた竹の節を、

茶杓の真ん中に配置して、

これが良いんだ、って言った

利休は、

やはり、

すごい。


お詰めのKさまが、

道具をお返しして、




総礼で、

お開き。

 ここから、

みなさん、

写真撮りまくり。





















久しぶりに、

私も入って。




その後も、

近くで見て、

やっぱり、

美しいねーって。







箱書きも、

素晴らしく。






最後に、

細部も

もう一度、

ガン見。

















細やかな筆使いと、

美しい楊貴妃に、

もう一度うっとり。

 Mさま、貴重なお軸をありがとうございました。

来月は、初風炉。

風薫る青もみじも美しい五月。

楽しみですねー。

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