2020年7月8日水曜日

今月の月釜〜抱一を愛でる

昨晩の激しい雨。

九州地方、中部地方と順々におそいかかる豪雨の脅威。

世界中を陰鬱に覆うコロナの流行。

昨今の状況で、江戸期を代表する絵師の一人、

円山応挙が36歳のおりに仕上げた

”七難七福図巻”を思わず思い出しました。

自然の美しい描写のイメージが強い応挙ですが、

大恩人である”三井寺円満院の祐常門主”からの依頼で、

3年かかって仕上げた

なかなかの衝撃的な作品。

特に七難の描写は、リアル過ぎて目を背けるほど、、。

立ち上がることを拒むしんどい日常もあるけれど、

もちろん幸せな時もやってくる。

そうそう、七福がある。

今月の月釜は、その江戸期の絵師つながりです。

安土桃山から江戸にかけての絵師、特に琳派大好きな私としては、

またとない今回の企画とは、、、。

 江戸琳派の絵師であり、尾形光琳の”風神雷神図屏風”の裏に書いた

”夏秋草図屏風”が代表的な作品の一つである

酒井抱一のお軸を三幅対で見ることができるという

夢のような企画。

いつもご一緒いただくMさまのコレクション。

前日からお持ちいただき、床にかけて準備。

 今朝はまずその撮影から。




三幅揃うと、そのオーラは鳥肌もの。

そして、抱一の筆はどこかいつも洗練されて艶やか。

そこが好きです。




硯箱の千鳥の絵柄と青い朝顔。

涼しげで、字とのバランスも洗練されてます。




お供を連れた高貴な方は、どこへ??




昼顔のすっと伸びた蔓に、

オレンジの花が夏。

(蔓の形状や花の色でノウゼンカズラかなあと思ったのですが、

箱書きには昼顔とあり、昼顔だったようです)

字体の伸びやかさと蔓の姿もシンクロ。




いろんな角度から撮影。




 心配した天気ですが、

雨が止んで少し明るくなってきました。







お庭の木々も、どんどん緑が濃くなってきました。








皆様をお迎えする待合。

長刀鉾の扇子。

今年は、静かに神事だけは行われるとのこと。




凛としながらも、どこか力強い祗園守木槿(ぎおんまもりむくげ)。

毎年、祇園祭の時期にきっちりと咲くそうです。

植物ってすごい!




そして、皆様が到着される頃にはなんと晴れ間も。

天気もやるやん!!








with コロナの時代となり、

お点前やしつらえも、臨機応変に変えているとのこと。

過去にはいろんな伝染病に苦しんだ歴史もあり、

今もまさにその時期。

お菓子のいただき方、席の配置、

いろいろ工夫が見られます。











でも、楽しまなきゃね。

皆様、涼やかなお着物。

Uさまのは、なんと芭蕉布のものです。

テレビで見たことはあるのですが、

本物が見れるとは。




主菓子は、”したたり”。

祇園祭のお菓子といえば、亀廣長(かめひろなが)さんの

”したたり”だそうです。

黒砂糖の風味と程よい弾力が、なんとも美味しい。




三密を避けるため、席の間を広く。

そのために、いつもとは違う場所でお点前。

梶の葉をふたにした点前は、この時期ならでは。










みんなで、お軸の意味や絵柄に、

いろんな妄想を乗せて、

あれこれ談義。

それも楽しく。







この時期の茶碗は、平茶碗がお出まし。

涼やかですね。




姉が明石で見つけたという伝統の銘菓。

モチーフは、千鳥と富士山。

千鳥は、抱一のお軸の硯にあった模様と

コラボだわー。



ほっこり。

味は柚子の風味が爽やか。











こちらも、平茶碗。




私の二服目は、朝顔ので。







なんともキャラの立つ薄器は、

バリ島のものだそう。

姉が気に入って買い求めたもの。

もともとは、何用だったのかなあ。










蓋に使われた梶の葉っぱも拝見。




自然が作る形って、やっぱりミラクルだわー。




最後は、せっかくなので、

抱一の三幅と一緒に撮影。







ご一緒いただいた皆さん、コレクションを披露してくださったMさま、

そして、

大好きな琳派の絵師の逸品の出会いにも、感謝*感謝。

心が弱くなりがちな日々ですが、

いろいろ落ち着くのを待ったり、

している間に、時間ってどんどん経っちゃうんだよねー。

とりあえず、やれることやりたいことは、前向きに。 

 奥深い日本の文化。

まだまだ楽しみたい今日この頃。

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